HOME 言葉の意味 「憮然」の正しい意味は? 「憮然」の正しい意味は? 憮然としてる? (ページ下部にオマケ漫画があります) (結論) 「憮然」とは、「失望してぼんやりとしている様子」のこと。 「腹を立てている様子」ではない! 「憮然とした顔」ってどんな顔? 皆さんが小説を読んでいるときに、「その話を聞いた彼は、憮然とした面持ちで部屋を出ていった。」という文章に出会ったとしましょう。 このときの「彼」は、一体どんな顔だったのでしょうか? 怒った顔で、いらだちをあらわにしながら部屋の扉をバタンと閉めたのか。 それとも、がっかりと落胆したような顔で弱々しく部屋を出ていったのか。 「憮然」という言葉が、どんな顔をしているのかを決定づけるキーワードとなりそうですよね。 あなたは、「憮然」の意味を取り違えてはいないでしょうか? 以下の辞書の引用で確認してみましょう! ぶ‐ぜん【×憮然】 [ト・タル][文][形動タリ]失望・落胆してどうすることもできないでいるさま。また、意外なことに驚きあきれているさま。「憮然としてため息をつく」「憮然たる面持ちで成り行きを見る」 デジタル大辞泉(小学館) goo辞書より引用 つまり、「憮然とした面持ち」とは、失望してしまいどうしようもできず、ぼんやりとした顔なんです! ですから、先ほど例に出した「彼」は、がっかりと落胆したような顔で弱々しく部屋を出ていったわけですね。 実は、「憮然」という言葉の意味を「腹を立てている様子」だと誤用するケースは、少なくないようなのです。 腹を立てると落胆するでは、表している様子は全くといっていいほど逆。 どうしてこのような誤用がされているのでしょうか? 次項では、日本人の誤用率とその要因について触れていきます。 「憮然」にどんなイメージを抱く? 文化庁が平成30年に16歳以上を対象に行った「国語に関する世論調査」で、「憮然」の意味に関する調査が行われました。 実は「憮然」の意味に関する調査は、平成30年のほかに、平成15年、19年にも行われています。 3回の調査結果を見てみると、「憮然」の意味は「腹を立てている様子」だと誤認している人の割合は年順に65%、67%、50%と平成30年には一気に下がっています。 つまり、正しい意味で使っている人の割合が増えている、ということです。 平成30年に大きく誤用率が下がったのには、10~30代において、正しい意味で使っている人の割合が誤用している人の割合を大きく上回ったことが影響しているようです。 特に平成30年の10代における正しい意味を回答した人の割合は、いつの調査のどの年代よりも高く、約7割の人が正しい意味で使えているという結果になりました。 言葉の意味に関するこのような調査において、高齢層よりも若年層の正答率が高いというのはやや珍しい結果です。 しかし、近年誤用率が下がってきているとはいえ、以前として5割の人が「憮然」の意味を誤用してしまっています。 この原因は何なのでしょうか? そのひとつに、「憮然(ぶぜん)」という言葉の音があると思います。 みなさんは、「ぶ」や「ぜ」など、濁点がついた言葉に、どのようなイメージをもちますか? 不平や不満を表す言葉には濁点のつく文字が使われることが多く、「ぶつぶつ言う」や「ぐちぐち言う」、「愚痴(ぐち)」などがあります。 さらに、濁点には、その言葉に「強い」イメージを与えるとも考えられているようです。 人の名前を例に挙げると、「だいち」と「たいち」、「じゅん」と「しゅん」ではそれぞれどちらにより「強い」イメージをもつでしょうか? あるいは、効果音などについても、「ガンッ!」と「カンッ!」とでは、どちらがより「強い」衝撃を表しているように感じますか? このイメージ操作は、かの有名な特撮映画「ゴジラ」に登場する怪獣の名前をつける際にも意識されているようです。 確かに、「ゴジラ」や「ラドン」などのように濁点が含まれていると強そうに感じますが、濁点が使われていない子ども怪獣「ミニラ」の名前からは「ゴジラ」ほどの強さは感じられない気がしますよね。 少し話がそれてしまいましたが、濁点は「強い」イメージを与えうるということが分かっていただけたかと思います。 濁点が、不平や不満の感情、あるいは怒りという強い感情を連想させることで、「憮然」の誤った意味「腹を立てている様子」が生まれたのかもしれませんね。 「憮然」の字面に着目! 「憮然」の正しい意味は「失望してぼんやりとしている様子」です。 この正しい意味を覚える際のワンポイントアドバイスとして、「憮然」の漢字に着目してみてはどうでしょうか? まず、「憮」という文字についてです。 「憮」の“へん”は、「忄(りっしんべん)」ですが、これは「感情や思考といった心の動きに関する」漢字に使われます。 りっしんべんに「無」で「憮」ですから、心が無い、すなわち「失望・ぼんやり」といった意味になります。 一方の「然」です。 こちらは「名詞に付いて、そのもののようなようすであるということを表す」漢字ですが、簡単に言えば「~な様子」という意味になります。 したがって、「憮然」の意味は、「失望・ぼんやり」+「~な様子」=「失望してぼんやりとしている様子」となるわけです。 字面を見ることが、「心が無い様だから…腹が立っているという意味ではなく、失望しているという意味だな」というように正しい意味を導き出すヒントになるかもしれませんね。
(結論)
「憮然」とは、「失望してぼんやりとしている様子」のこと。
「腹を立てている様子」ではない!
「憮然とした顔」ってどんな顔?
皆さんが小説を読んでいるときに、「その話を聞いた彼は、憮然とした面持ちで部屋を出ていった。」という文章に出会ったとしましょう。
このときの「彼」は、一体どんな顔だったのでしょうか?
怒った顔で、いらだちをあらわにしながら部屋の扉をバタンと閉めたのか。
それとも、がっかりと落胆したような顔で弱々しく部屋を出ていったのか。
「憮然」という言葉が、どんな顔をしているのかを決定づけるキーワードとなりそうですよね。
あなたは、「憮然」の意味を取り違えてはいないでしょうか?
以下の辞書の引用で確認してみましょう!
goo辞書より引用
つまり、「憮然とした面持ち」とは、失望してしまいどうしようもできず、ぼんやりとした顔なんです!
ですから、先ほど例に出した「彼」は、がっかりと落胆したような顔で弱々しく部屋を出ていったわけですね。
実は、「憮然」という言葉の意味を「腹を立てている様子」だと誤用するケースは、少なくないようなのです。
腹を立てると落胆するでは、表している様子は全くといっていいほど逆。
どうしてこのような誤用がされているのでしょうか?
次項では、日本人の誤用率とその要因について触れていきます。
「憮然」にどんなイメージを抱く?
文化庁が平成30年に16歳以上を対象に行った「国語に関する世論調査」で、「憮然」の意味に関する調査が行われました。
実は「憮然」の意味に関する調査は、平成30年のほかに、平成15年、19年にも行われています。
3回の調査結果を見てみると、「憮然」の意味は「腹を立てている様子」だと誤認している人の割合は年順に65%、67%、50%と平成30年には一気に下がっています。
つまり、正しい意味で使っている人の割合が増えている、ということです。
平成30年に大きく誤用率が下がったのには、10~30代において、正しい意味で使っている人の割合が誤用している人の割合を大きく上回ったことが影響しているようです。
特に平成30年の10代における正しい意味を回答した人の割合は、いつの調査のどの年代よりも高く、約7割の人が正しい意味で使えているという結果になりました。
言葉の意味に関するこのような調査において、高齢層よりも若年層の正答率が高いというのはやや珍しい結果です。
しかし、近年誤用率が下がってきているとはいえ、以前として5割の人が「憮然」の意味を誤用してしまっています。
この原因は何なのでしょうか?
そのひとつに、「憮然(ぶぜん)」という言葉の音があると思います。
みなさんは、「ぶ」や「ぜ」など、濁点がついた言葉に、どのようなイメージをもちますか?
不平や不満を表す言葉には濁点のつく文字が使われることが多く、「ぶつぶつ言う」や「ぐちぐち言う」、「愚痴(ぐち)」などがあります。
さらに、濁点には、その言葉に「強い」イメージを与えるとも考えられているようです。
人の名前を例に挙げると、「だいち」と「たいち」、「じゅん」と「しゅん」ではそれぞれどちらにより「強い」イメージをもつでしょうか?
あるいは、効果音などについても、「ガンッ!」と「カンッ!」とでは、どちらがより「強い」衝撃を表しているように感じますか?
このイメージ操作は、かの有名な特撮映画「ゴジラ」に登場する怪獣の名前をつける際にも意識されているようです。
確かに、「ゴジラ」や「ラドン」などのように濁点が含まれていると強そうに感じますが、濁点が使われていない子ども怪獣「ミニラ」の名前からは「ゴジラ」ほどの強さは感じられない気がしますよね。
少し話がそれてしまいましたが、濁点は「強い」イメージを与えうるということが分かっていただけたかと思います。
濁点が、不平や不満の感情、あるいは怒りという強い感情を連想させることで、「憮然」の誤った意味「腹を立てている様子」が生まれたのかもしれませんね。
「憮然」の字面に着目!
「憮然」の正しい意味は「失望してぼんやりとしている様子」です。
この正しい意味を覚える際のワンポイントアドバイスとして、「憮然」の漢字に着目してみてはどうでしょうか?
まず、「憮」という文字についてです。
「憮」の“へん”は、「忄(りっしんべん)」ですが、これは「感情や思考といった心の動きに関する」漢字に使われます。
りっしんべんに「無」で「憮」ですから、心が無い、すなわち「失望・ぼんやり」といった意味になります。
一方の「然」です。
こちらは「名詞に付いて、そのもののようなようすであるということを表す」漢字ですが、簡単に言えば「~な様子」という意味になります。
したがって、「憮然」の意味は、「失望・ぼんやり」+「~な様子」=「失望してぼんやりとしている様子」となるわけです。
字面を見ることが、「心が無い様だから…腹が立っているという意味ではなく、失望しているという意味だな」というように正しい意味を導き出すヒントになるかもしれませんね。