「知恵熱」の正しい意味は?

知恵熱?

「知恵熱」の正しい意味は? オマケ漫画あります

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(結論)

「知恵熱」は乳児期にみられる高い熱のこと。

深く考えたり頭を使ったりしたときに出す熱という意味ではない。

「知恵」という言葉に惑わされてない?

「知恵熱」の本当の意味を知らない人がこの言葉を聞くと、「「知恵」という言葉が入っているから、知恵を使ったときに出す熱のことかな?」と勘違いしてしまいそうですが、実はこれ、誤用なんです。

日本語はその字面から意味を読み取ることができる言葉が多い反面、このように紛らわしい言葉もあります。

この際に正しい意味を確認してみましょう。

ちえ‐ねつ〔チヱ‐〕【知恵熱】

1 乳児にみられる原因のわからない発熱。昔は知能の発達と関係があると考えられていた。

2 俗に、頭を使いすぎたときに起こる熱。

デジタル大辞泉(小学館)

goo辞書より引用

若い世代での誤用が多発!

文化庁が平成28年度に16歳以上を対象に行った「国語に関する世論調査」では、10代から40代では、「知恵熱」を「乳幼児期に突然起こる発熱」という正しい意味で理解している人の割合を、「深く考えたり頭を使ったりした後の熱」と誤認している人の割合が大きく上回る結果となりました。

特に10代、20代、30代では誤用している人の割合が7割前後、正しい意味を理解している人の割合は2割前後となっており、その差は歴然としています。

若い世代に「知恵熱」という言葉が正しく理解されていない現状がよく分かる数字ですね。

一方で50代以降では、それ以下の年代とは全く異なる結果となりました。

50代を境に、正しい意味で理解している人の割合が誤用している人の割合を上回っており、年代を上がるごとに正しい意味で理解している人の割合は高くなっていく結果となりました。

なぜ、これほどまでに「知恵熱」の意味の理解度が年代によって異なるのでしょうか。

次項ではそれを探っていきます。

「知恵熱」は医学的には存在しない!

「知恵熱」は、知能発達が著しい生後6か月程度の乳児がかかりやすい熱のことを指しています。

知的な発達が見られ、知恵がついてきている時期の熱だから、という理由で「知恵熱」と称されて昔から日常的に使われていたようです。

しかし、昨今の医学的進歩によって「知恵熱」の発熱の原因が明らかになってきたことで、「知恵熱」という俗名が使われなくなってきたのでしょう。

そういうわけで若い世代は「知恵熱」という言葉に馴染みがなく、「知恵熱」の正しい意味を知らない人が多くなっているのではないでしょうか。

とはいえ、「知恵熱」という言葉が完全に消えたわけではありませんし、言葉の意味を正しく知っていて損をすることはありませんので、ぜひこの機会に「知恵熱」の意味を正しく理解してくださいね。

ちなみに、「知恵熱」と呼ばれている病気の正体は「突発性発疹」というものです。

母胎にいた時から持っていた免疫機能が低下することで感染症にかかりやすく、発熱しやすくなる病気だそうです。

知能の発達が発熱に関与するわけではないため、「知恵熱」という名前はそぐわないですね。

そういうわけで医学的に「知恵熱」という言葉が用いられることは無いようで、あくまでも「知恵熱」は俗称として使われています。

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