「檄を飛ばす」の正しい意味は?

檄を飛ばす

「檄を飛ばす」の正しい意味は? オマケ漫画あります

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(結論)

「檄を飛ばす」は「自分の主張や考えを、広く人々に知らせて同意を求めること」という意味。

「元気のない者に刺激を与えて活気付けること」という意味ではない。

「檄を飛ばす」の「檄」とは?

まず、「檄を飛ばす」の「檄」という漢字に着目してみましょう。

注意してもらいたいのは、「檄を飛ばす」の「げき」は、「激」ではなく「檄」であるということ。

さんずいの「激」ではなく、きへんの「檄」です。

「檄」の意味を確認して、「檄を飛ばす」という言葉の成り立ちを確認してみましょう。

げき【×檄】

1 古代中国で、召集または説諭の文書。木札を用いたという。めしぶみ。さとしぶみ。

2 自分の考えや主張を述べて大衆に行動を促す文書。檄文。ふれぶみ。

[補説]誤用が定着して、励ますこと、また、励ましの言葉や文書の意味でも用いる。

デジタル大辞泉(小学館)

goo辞書より引用

檄(げき)を飛(と)ば・す

自分の主張や考えを広く人々に知らせ同意を求める。また、それによって人々に決起を促す。飛檄。

デジタル大辞泉(小学館)

goo辞書より引用

「檄」とは、自分の考えや主張を知ってもらうために書く文書のことなのです。

三国志の時代や大塩平八郎の乱の際、愛国社結成の際などに、その行動を起こすに際して自分の主張を知らしめるために出されたのが、檄という文書でした。

つまり、自分の主張が書かれた文書「檄」を飛ばすことは、自分の主張を広く人々に知らせ、同意を求めることになるのです。

「檄を飛ばす」の意味が「元気のない者に刺激を与えて活気付けること」だと誤用されてしまったのは、激励などの「激」と音が同じであったためでしょう。

そもそも「檄」は日常的には「檄を飛ばす」以外の使い道がないため、頻繁に熟語などで使われており、さらに漢字も似ている「激」と取り違えてしまうのも無理はありません。

ですが、「元気のない者に刺激を与えて活気付けること」という意味で「檄を飛ばす」を使うのは誤用ですので、間違えないようにしたいですね。

日本人の7割近くが誤用している!

文化庁が平成19年度に16歳以上を対象に行った「国語に関する世論調査」で、「檄を飛ばす」の意味に関する調査が行われました。

一番誤用している人の割合が高い30代で81%、一番低い60歳以上の年代でも66.8%の人が「檄を飛ばす」の意味は「元気のない者に刺激を与えて活気付けること」だと誤認していたのです。

このように「檄を飛ばす」の言葉の誤用がかなり広く定着してしまっているために、上記のgoo辞書では補足としてではあるものの誤用の意味を一部認めているような書き方がされています。

一方、日本国語大辞典や大辞林などの辞書では、「檄を飛ばす」を元気付けるの意味で用いるのは誤りであるとはっきりと記されています。

いずれにしても、「檄を飛ばす」の本来の正しい意味は「自分の主張や考えを、広く人々に知らせて同意を求めること」なので、この際にぜひ正しい意味を覚えていってくださいね。

他にも間違えやすい言葉が!

「檄を飛ばす」に関連して、同音であるがゆえに漢字を取り違え、誤用を招いてしまう言葉があるので、この際に確認しておきましょう。

「活を入れる」という言葉は「刺激を与えて元気付ける」という意味ですが、「活を入れる」の「かつ」を「喝」と取り違えてしまうという誤りがよくあるようです。

さらに、このように誤解していた人は、「活を入れる」の意味も「大声で叱りつける」などと誤用していたのではないでしょうか。

この意味で「喝を入れる」と誤用していた人は、「大声で叱りつける」ということを表したいときは「一喝する」などと言い換えてみるといいでしょう。

「喝」には「叱る」「大声を出す」といった意味があり、「刺激を与えて元気付ける」の意味をもつ「活を入れる」とは真反対の意味になります。

非常に紛らわしいですが、他人を元気付けたいときには「活を入れる」が正解です。

自分は相手を元気付けたいのに、相手には叱られていると感じられては、状況はさらに悪化してしまうでしょう。

そんなことにならないように、「檄を飛ばす」と一緒に「活を入れる」の意味も覚えてみてくださいね。

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