HOME 言葉の意味 「奇特」の正しい意味は? 「奇特」の正しい意味は? 奇特??? (ページ下部にオマケ漫画があります) (結論) 「奇特」とは、「優れて他と違って感心なこと」 (←△?)「奇妙で珍しいこと」という意味ではない(文化庁の見解) 「奇特な人」ってどんな人? 「奇特な彼の言動には、みんなが注目しているよ」 「彼」のことを、このように紹介されたとしましょう。 あなたは「彼」のことを、どのような人だと解釈しましたか? 言動が注目されるのは、「彼」が「優れて他と違って感心な」人だから? それとも、「彼」が「奇妙で珍しい」人だから? 文化庁が発行している「文化庁月報」では、「奇特」の正しい意味は「優れて他と違って感心なこと」と紹介されていました。 加えて、「奇特」の辞書的な意味も確認してみましょう。 き‐とく【奇特】 [形動][文][ナリ]《「きどく」とも》 1 言行や心がけなどがすぐれていて、褒めるに値するさま。「世の中には奇特な人もいるものだ」 2 非常に珍しく、不思議なさま。 「比の香の―なるを漸く寄りて見れば」〈今昔・六・六〉 デジタル大辞泉(小学館) goo辞書より引用 本当に誤用? 文化庁が平成27年度に16歳以上を対象に行った「国語に関する世論調査」で、「奇特」の意味に関する調査が行われました。 調査は、「彼は奇特な人だ。」という例文に関して、「奇特」という言葉が、「優れて他と違って感心なこと」と「奇妙で珍しいこと」のどちらの意味で使われているかを問うもの。 結果は、10~20代と30代以降で、大きく傾向が異なりました。 本来の「優れて他と違って感心なこと」という意味を回答した人の割合は、10代、20代では30%強ほどでした。 30代以降では50%を上回っており、最も高い正答率だったのは40代で、59.1%でした。 誤用である「奇妙で珍しいこと」という意味を回答した人の割合は、10代、20代では45%前後で、30代以降では20%から30%弱でした。 このような結果となりましたが、はたして、「奇特」を「奇妙で珍しいこと」という意味で用いることは、本当に「誤用」なのでしょうか? 文化庁に物申したいというわけでは毛頭なく、以前は、「奇特」を「奇妙で珍しい」という意味で用いていた、というエピソードを紹介したいのです。 今は「奇特」を「きとく」と読みますが、以前は「きどく」という読み方がされていました。 以前、といっても平安時代あたりの大昔のことで、当時は「奇特(きどく)なり」という古語として用いられていました。 「奇特(きどく)なり」は「非常に珍しい、不思議だ」という意味で用いられており、「感心だ」という意味で用いることもあったようです。 そして、「非常に珍しい、不思議だ」「感心だ」という意味の「奇特(きどく)なり」は、「奇特(きとく)」という言葉として現在に残ることとなりました。 以前の使われ方を見ると、現在使われている「奇特(きとく)」の意味として、「奇妙で珍しいこと」という意味が誤用であるとは、一概には言えない、のかもしれません。 先ほど紹介したgoo辞書にも、「奇妙で珍しい」という旨の意味は取り上げられていますし、大辞泉や日本国語大辞典においても同様の紹介がされてあります。 文化庁の調査結果からも明らかなように、今現在では「奇特」を「優れて他と違って感心なこと」という意味で用いる人が多く、この意味がよりメジャーであることが分かります。 あくまでも、「奇特」の意味は「優れて他と違って感心なこと」である、というのは、よりメジャーな意味が「優れて他と違って感心なこと」である、ということです。 ですので、「優れて他と違って感心なこと」という意味で用いる方が無難かもしれません。 誤用である、とはっきり言えませんが、「奇特」の意味を、意図した意味と異なる意味として取り違ってしまう、というのは問題ですよね。 あるいは、自分が「奇特」という言葉を用いる際も、相手がどちらの意味でとるかによって、相手の感じ方もかわってくるでしょう。 「彼は奇特な人だ。」という例文だけでは、文脈によっては「ほかと優れて他と違って感心な」人とも、「奇妙で珍しい」人ともとれてしまいます。 場合によっては、他の言葉に言い換えながら、「奇特」という言葉を上手に正しく使っていきたいものです。 「奇」のイメージ 「奇」という漢字に、どのようなイメージをもっていますか? 「奇妙」「奇怪」「奇声」「奇行」など、「奇」という漢字は、普通とは違った感じや変な感じ、不思議な感じを思わせる言葉に多く使われています。 実際、辞書には、「奇」の解説としてこのように紹介してあります。 き【奇】 [名・形動]珍しいこと。不思議なこと。また、そのさま。「事実は小説より奇なり」 デジタル大辞泉(小学館) goo辞書より引用 「奇」を用いた熟語には、このような不思議で珍しさを表す言葉が多いこともあり、「奇」という漢字自体にそのようなイメージを強くもっている人も多くいるでしょう。 このイメージで「奇特」という熟語を見ると、「奇妙で珍しいこと」を表す言葉なのかな、と思ってしまう人がいてもおかしくありません。 ですから、「奇特」という字面と「優れて他と違って感心なこと」という意味を結び付けることは、なかなかに難しいことかもしれません。 意識して覚えておかないと、つい忘れてしまいそうですよね。 「奇特」の意味が分からなくなったときは、言い換え表現を思い出してみてください。 「奇特」という言葉は、「殊勝」や「神妙」、「感心」といった言葉で言い換えることができます。 といっても、「殊勝」や「神妙」の意味も難しいと感じる方もいるかもしれません。 「奇特な人は感心な人!」のように、覚えやすい言い換え言葉と関連づけて、自分なりに覚えてみてください。
(結論)
「奇特」とは、「優れて他と違って感心なこと」
(←△?)「奇妙で珍しいこと」という意味ではない(文化庁の見解)
「奇特な人」ってどんな人?
「奇特な彼の言動には、みんなが注目しているよ」
「彼」のことを、このように紹介されたとしましょう。
あなたは「彼」のことを、どのような人だと解釈しましたか?
言動が注目されるのは、「彼」が「優れて他と違って感心な」人だから?
それとも、「彼」が「奇妙で珍しい」人だから?
文化庁が発行している「文化庁月報」では、「奇特」の正しい意味は「優れて他と違って感心なこと」と紹介されていました。
加えて、「奇特」の辞書的な意味も確認してみましょう。
goo辞書より引用
本当に誤用?
文化庁が平成27年度に16歳以上を対象に行った「国語に関する世論調査」で、「奇特」の意味に関する調査が行われました。
調査は、「彼は奇特な人だ。」という例文に関して、「奇特」という言葉が、「優れて他と違って感心なこと」と「奇妙で珍しいこと」のどちらの意味で使われているかを問うもの。
結果は、10~20代と30代以降で、大きく傾向が異なりました。
本来の「優れて他と違って感心なこと」という意味を回答した人の割合は、10代、20代では30%強ほどでした。
30代以降では50%を上回っており、最も高い正答率だったのは40代で、59.1%でした。
誤用である「奇妙で珍しいこと」という意味を回答した人の割合は、10代、20代では45%前後で、30代以降では20%から30%弱でした。
このような結果となりましたが、はたして、「奇特」を「奇妙で珍しいこと」という意味で用いることは、本当に「誤用」なのでしょうか?
文化庁に物申したいというわけでは毛頭なく、以前は、「奇特」を「奇妙で珍しい」という意味で用いていた、というエピソードを紹介したいのです。
今は「奇特」を「きとく」と読みますが、以前は「きどく」という読み方がされていました。
以前、といっても平安時代あたりの大昔のことで、当時は「奇特(きどく)なり」という古語として用いられていました。
「奇特(きどく)なり」は「非常に珍しい、不思議だ」という意味で用いられており、「感心だ」という意味で用いることもあったようです。
そして、「非常に珍しい、不思議だ」「感心だ」という意味の「奇特(きどく)なり」は、「奇特(きとく)」という言葉として現在に残ることとなりました。
以前の使われ方を見ると、現在使われている「奇特(きとく)」の意味として、「奇妙で珍しいこと」という意味が誤用であるとは、一概には言えない、のかもしれません。
先ほど紹介したgoo辞書にも、「奇妙で珍しい」という旨の意味は取り上げられていますし、大辞泉や日本国語大辞典においても同様の紹介がされてあります。
文化庁の調査結果からも明らかなように、今現在では「奇特」を「優れて他と違って感心なこと」という意味で用いる人が多く、この意味がよりメジャーであることが分かります。
あくまでも、「奇特」の意味は「優れて他と違って感心なこと」である、というのは、よりメジャーな意味が「優れて他と違って感心なこと」である、ということです。
ですので、「優れて他と違って感心なこと」という意味で用いる方が無難かもしれません。
誤用である、とはっきり言えませんが、「奇特」の意味を、意図した意味と異なる意味として取り違ってしまう、というのは問題ですよね。
あるいは、自分が「奇特」という言葉を用いる際も、相手がどちらの意味でとるかによって、相手の感じ方もかわってくるでしょう。
「彼は奇特な人だ。」という例文だけでは、文脈によっては「ほかと優れて他と違って感心な」人とも、「奇妙で珍しい」人ともとれてしまいます。
場合によっては、他の言葉に言い換えながら、「奇特」という言葉を上手に正しく使っていきたいものです。
「奇」のイメージ
「奇」という漢字に、どのようなイメージをもっていますか?
「奇妙」「奇怪」「奇声」「奇行」など、「奇」という漢字は、普通とは違った感じや変な感じ、不思議な感じを思わせる言葉に多く使われています。
実際、辞書には、「奇」の解説としてこのように紹介してあります。
goo辞書より引用
「奇」を用いた熟語には、このような不思議で珍しさを表す言葉が多いこともあり、「奇」という漢字自体にそのようなイメージを強くもっている人も多くいるでしょう。
このイメージで「奇特」という熟語を見ると、「奇妙で珍しいこと」を表す言葉なのかな、と思ってしまう人がいてもおかしくありません。
ですから、「奇特」という字面と「優れて他と違って感心なこと」という意味を結び付けることは、なかなかに難しいことかもしれません。
意識して覚えておかないと、つい忘れてしまいそうですよね。
「奇特」の意味が分からなくなったときは、言い換え表現を思い出してみてください。
「奇特」という言葉は、「殊勝」や「神妙」、「感心」といった言葉で言い換えることができます。
といっても、「殊勝」や「神妙」の意味も難しいと感じる方もいるかもしれません。
「奇特な人は感心な人!」のように、覚えやすい言い換え言葉と関連づけて、自分なりに覚えてみてください。