「なし崩し」の正しい意味は?

なし崩し

「なし崩し」の正しい意味は? オマケ漫画あります

(ページ下部にオマケ漫画があります)

(結論)

「なし崩し」は少しずつ返していくという意味。

なかったことにするという意味ではない。

「なし崩し」の「なし」は「済し」

実は、「なし崩し」の「なし」は「済し」と書きます。

正しい「なし崩し」の意味も「済」という漢字の意味からきています。

以下の辞書の引用で意味を確認してみましょう。

なし‐くずし〔‐くづし〕【▽済し崩し】

1 物事を少しずつかたづけていくこと。「済し崩しに努力する」

2 物事を少しずつ変化させ、うやむやにしてしまうこと。「企画が済し崩しに変更される」「新体制に済し崩し的に移行した」

3 借金を少しずつ返すこと。

「高利にして廿年符の、あたまから―の貸しやうに」〈浮・親仁形気・四〉

デジタル大辞泉(小学館)

goo辞書より引用

「済す」という言葉には、「借りた金品を返す、返済する」「義務を果たす」といった意味があります。

「なし崩し」という言葉にもこのような意味が含まれていることが分かりますよね。

「なし崩し」の「なし」は「無し」ではなく「済し」であるということを覚えておけば、すぐに正しい意味を思い出せて、誤用を避けることができそうですね!

日本人の約65パーセントが誤用

文化庁が平成29年度に16歳以上を対象に行った「国語に関する世論調査」では、10代から60代以上のすべての年代で、「なし崩し」の意味は「なかったことにすること」だと誤認していた人の割合が5割を超える結果となりました。

特徴的なのは、40代、50代、60代の各年代で7割強の人が誤認しているという事実です。

「国語に関する世論調査」では、10代、20代、30代での誤用が多い日本語が多く見受けられるのですが、今回は逆に若年層の誤用の割合を中年層の誤用の割合が超える結果となりました。

「なし崩し」を本来の「少しずつ返していく」という意味で正しく使っている人の割合は、全年代で3割を超えることはなく、多くの人が日常的に誤用していると言えそうです。

正しい意味で使っている人が少数派だとしても、誤解を招くきっかけにもなりかねないですので、正しく使っていきたいものですね。

「なし崩し」の使い方

「なし崩し」という言葉を日常的に頻繁に使っているという人は少ないでしょうが、実はビジネスシーンでも役立つ言葉なんです!

例えば、「この企画はなし崩し的に進めていこう」といった使い方ができます。

これは、少しずつ、一歩ずつ進めていくというニュアンスになります。

「なし崩し的に」といっても、「なし崩しに」といっても大丈夫。

また、「家のローンをなし崩す」というように動詞に変化させて使うこともできます。

この場合も同様に、家のローンを少しずつ返済していく、という意味になります。

「なし崩し」は「少しずつ」や「徐々に」「着実に」などの言葉で言い換えることができます。

ですので、誤解を避けたい際などには、これらのような言葉で言い換えることも有効です!

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