「御の字」の正しい意味は?

御の字

「御の字」の正しい意味は? オマケ漫画あります

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(結論)

「御の字」とは「大いに有り難い」という意味!

「一応、納得できる」という意味で使うのは誤り!

「御の字」=「大満足」!

「駅まで徒歩5分の物件を借りられるなら、御の字だ」などといった言葉を聞いたことはありますか?

この場合、このセリフをいった人にとって徒歩5分は短いのか?それとも長いのか?

「たった5分で駅に着くなんて最高!5分なんて短いものよ」といったニュアンスだと捉えたあなたは大正解!

「5分は歩けないことはないけど、ちょっと長いな…100%満足はしない」といったニュアンスだと捉えてしまったあなた、「御の字」の意味を取り違えていますよ!

「御の字」とは、おおいに満足のいく結果を評価する言葉です。

ところが、満足するとまではいかないが、納得はできるという程度の結果に対して使う人も多くいるようです。

後者の意味で「御の字」を用いるのは、誤用です!

辞書の引用で詳しくみていきましょう。

おん‐の‐じ【御の字】

《江戸初期の遊里語から出た語。「御」の字を付けて呼ぶべきほどのもの、の意から》

1 非常に結構なこと。望んだことがかなって十分満足できること。「出費がこの程度で済めば御の字だ」

2 最上のもの。

「―の太夫」〈浮・諸艶大鑑・八〉

デジタル大辞泉(小学館)

goo辞書より引用

「御の字」が満足いくものごとに対して使われる、ということを理解していただけたでしょうか?

例えば、100点満点の試験に対して、先生が「この試験で60点取れれば御の字だ」と評価したとしましょう。

この場合、先生は、60点取れる人はその結果に満足していいだろう、といっていると捉えていいでしょう。

誤用率、約5割!

文化庁が平成20年に16歳以上を対象に行った「国語に関する世論調査」で、「御の字」の意味に関する調査が行われました。

10代から60歳以上のすべての年代で、誤りである「一応、納得できる」の意味を回答した人の割合が、正しい「大いに有り難い」の意味を回答した人の割合を超える結果となりました。

最も高い誤用率は10代の59.7%で、次に60歳以上の55%、最も低い誤用率でも20代の46.8%と、いずれの年代もおおよそ5割の人が誤用しているようです。

一方、正しい意味を回答している人の割合は、谷型のグラフを描く誤用率とは逆に、山形のグラフを描く結果となりました。

つまり、10代、60代以上がそれぞれ25%、33.8%と低く、山の頂点となる30代で44.4%、40代で43.5%となりました。

20代から40代にかけては、その年代の中で誤用率と正答率にそれほど差はありませんが、10代や60代以上では2割から3割ほども差がありました。

「御の字」の言葉を使う相手によっては、意味を捉え違えている可能性が大いにありますから、注意が必要かもしれません。

意味の捉え違いを避けたい場合には、「御の字」を別の言葉で言い換えるのが無難でしょう。

「万々歳」や「望ましい」、「大満足」、「文句なし」など、いくつか言い換え表現があります。

場合によって適切な言葉で言い換えることで誤解を避けることができるでしょうから、覚えておいて損はありません!

「御」の字に着目!

「御の字」という言葉の正しい意味は「大いに有り難い」ですが、どうして誤りである「一応、納得できる」という意味が生まれたのでしょうか?

色々説はあるでしょうが、その一つに、「御の字」の意味を捉える際に、人それぞれの価値観が影響してしまったから、という原因が挙げられるのではないでしょうか。

そもそも正しい意味を知っていたら、「御の字」の言葉の意味を文章のニュアンスによって変えるなんてことしないでしょうが、もし正しい意味を知らなければ、文章のニュアンスからその意味を捉えてしまうのは無理ありません。

先程の「この試験で60点取れれば御の字だ」という例文で考えてみましょう。

60点を高いとみるのか、低いとみるのかはそれぞれです。

ですから、60点を高いとみる人の中には「60点取れて一応納得できる、という程度なのかな、なかなかシビアな評価だな」と捉えてしまう人もいるでしょう。

このように、人それぞれの価値観が「御の字」の意味を歪めてしまったのかもしれません。

とはいえ、「御の字」にもきちんと正しい意味があるのですから、ぜひとも正しい意味で覚えてほしいと思います。

そこで、「御の字」という言葉の由来をおさえることで、正しい意味を覚えてしまいましょう!

「御の字」は、江戸時代から使われている言葉です。

その当時は、女性が遊女として男性客をもてなす場で使われる「郭言葉(くるわことば)」の一つとして用いられていました。

「御の字」の「御」は、今でもそうであるように、ありがたいことや尊敬の対象につく接頭語です。

客に対するそのような感情を込めて、言葉に「「御」の字を付けて」接客していたそう。

それが転じて、今ではありがたいことや満足いくことそのものを「御の字」だ、と表現するようになったわけです。

「御」がありがたいことや尊敬を意味するものだ、というのは容易に理解できるでしょう。

ですから、ぜひ「「御」の字をつけたくなるほどのありがたいこと」こそ「御の字」」だ、と覚えてみてください!

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