「さわり」の正しい意味は?

「さわり」だけ

「さわり」の正しい意味は? オマケ漫画あります

(ページ下部にオマケ漫画があります)

(結論)

「さわり」の正しい意味は、話の要点、最も興味深い部分という意。

話のはじめの部分という意ではない。

話などの最初の部分という意味ではない

「さわり」という言葉の意味は、話などのはじめの部分という意味ではありません。

それは、誤用です。

話などの要点、最も興味深い部分、聞かせどころ、見どころという意味が正しい意味です。

以下の辞書の引用で確認してみましょう。

さわり〔さわり〕【触り】

①さわること。また、触れた感じ。感触。多く他の語と複合して「ざわり」の発音で用いられる。「手触り」「舌触り」「肌ざわり」②人に接したときの感じ。人あたり。「女のたちが、少し私に―が冷たいからだろうか」〈三重吉・桑の実〉③《他の節(ふし)にさわっている意》義太夫節で、義太夫節以外の他流の曲節を取り入れた部分。④義太夫節の一曲の中で、一番聞きどころとされる箇所。⑤《④から転じて》広く芸能で、中心となる見どころ・聞かせどころ。また、話や文章などで最も感動的、印象的な部分。「小説の触りを読んで聞かせる」⑥三味線の音響装置。また、それによって出る音。上駒 (かみごま) から約1センチ下までの棹 (さお) の表面を浅く削り、一の糸を上駒から外して軽く触れるようにする。複雑なうなり音を生じる。

デジタル大辞泉(小学館)

goo辞書より引用

様々に変化してきた「さわり」

実は「さわり」という言葉は長い歴史をもっており、その意味は様々に転じてきました。

「さわり」の歴史は江戸時代にまで遡ります。

元々は浄瑠璃という伝統芸能の流派の一つである義太夫節で用いられた言葉だったようです。

その当時は、義太夫節の最大の聞かせどころ、聞きどころという意味でしたが、それが転じて現在では音楽や文学、演劇などの最も感動的で印象深い部分や、話の要点という意味へと変化していきました。

この変化の仕方はとても自然ですから、本来の意味を知ったら今後「さわり」の意味を取り違えることはきっとなくなるでしょうね。

実は誤用している人のほうが多い

文化庁が平成19年度に行った、16歳以上を対象に行った「国語に関する世論調査」では、60歳以上を除いた他の年代全てで約6割から約7割の人が「さわり」を誤用しているという現状が浮かび上がってきました。

どうしてここまで誤認している人が多いのでしょうか。

まず、「さわり」を漢字で書くと「触り」ですが、触れるという語感から「物事の核心をつくのではなく、表面的にさらりと読み取る」と捉えてしまうことが原因の一つといえるでしょう。

それに加えて、その誤認を助長する原因があります。

皆さんは、「ほんのさわりだけ」というフレーズを耳にしたことがありませんか?

これこそ誤用なんです。

ここでいう「ほんの」は「ちょっとした」「わずかな」という意味ですから、本来の「さわり」の意味でとると「ほんのさわりだけ」は「ちょっとした要点」となりますが、少し違和感を感じますよね。

「さわり」を誤認している人が使う「ほんのさわりだけ」は「ちょっとはじめの部分だけ」ととれます。

「さわり」をこのように誤用した言い回しが自然であるために普及してしまったことが、「さわり」の誤用を定着させてしまったのでしょう。

4コマ漫画のように他人からさわりを尋ねられたり、あるいは自分が他人にさわりを尋ねたりする時には、意味のすれ違いがないか注意する必要がありますね。

ちなみに、下のオマケ漫画にもある「障り」という言葉ですが、「障り」と書いて「さわり」や「ささわり」と読む言葉です。

こちらは、「支障、妨げ」「病気になること」などという意味です。

これを機に、多くの語彙を正しく身に付けてくださいね。

オマケ漫画