HOME 言葉の意味 「敷居が高い」の正しい意味は? 「敷居が高い」の正しい意味は? 敷居が高い (ページ下部にオマケ漫画があります) (結論) 「敷居が高い」の正しい意味は、不義理・不面目なことがあって行きにくいという意。 上品・高級すぎる店などは自分の身の丈に合わないため行きにくいという意も間違いではない 誤用が誤用でなくなった 「敷居が高い」の意味は、以下のデジタル大辞泉の引用からもわかるように、不義理・不面目なことがあって行きにくいというのが本来の意味であって、上品・高級すぎる店などは自分の身の丈に合わないため行きにくいという意味ではありませんでした。 「でした」と書きましたが、この文章を書いている現時点で、デジタル大辞泉も含め、辞書によっては今でもそのような解釈といえるでしょう。 しかし、2018年1月に刊行された広辞苑第七版には、以下の引用にあるように、これまで誤用とされてきた意味が付け加えられました。 辞書に、しかも日本を代表する国語辞書の一つともいえる広辞苑で用法が認められたことで、これまで誤用とされてきた「ハードルが高い」的な意味合いも、一概には誤用といえなくなったといえるでしょう。 敷居が高い(しきいがたかい) 不義理や面目のないことがあって、その人の家へ行きにくい。 [補説]文化庁が発表した平成20年度「国語に関する世論調査」では、「あそこは敷居が高い」を、本来の意味とされる「相手に不義理などをしてしまい、行きにくい」で使う人が42.1パーセント、本来の意味ではない「高級すぎたり、上品すぎたりして、入りにくい」で使う人が45.6パーセントという逆転した結果が出ている。 デジタル大辞泉(小学館) goo辞書より引用 しき-い【敷居】―が高い 不義理または面目ないことなどがあって、その人の家に行きにくい。また、高級だったり格が高かったり思えて、その家・店に入りにくい。敷居がまたげない。 広辞苑第七版 広辞苑第七版より引用 誤用が認められることも 敷居とは、門や部屋の内と外との仕切りとして敷く横木のことで、溝やレールのついたものを誰もが目にしたことがあるのではないでしょうか。 敷居は古くから空間を分ける境界線として考えられていたため、この言葉が生まれた当初は不義理・不面目のためにその空間の中へ入ることに気後れしている心境を、境界線を越えにくい、敷居が高くて越えられない、すなわち「敷居が高い」と表現したのでしょう。 このように本来は「不義理・不面目なことが原因で行きにくい」という意味で使われていましたが、次第に「場所の上品さ、高級感が原因で行きにくい」という意味も持ち始めたようです。 また、単に「難易度の高さが原因で敬遠される」というニュアンスで使われることが多少なりともあるようです。 広辞苑をはじめ、辞書が用法として認める判断基準の一つは、世の中に広く定着しているか否かだということです。 広辞苑第七版出版前の、文化庁による平成20年度の「国語に関する世論調査」よると、10~30代では7割以上が「高級すぎて行きにくい」という意味を、40代ではその二つの解答に大差はみられず前者は47.4%、後者は35.6%、50~60代以上では半数以上が「不義理・不面目なことがあって行きにくい」という意味を正しい意味として答えました。 広辞苑第七版での改訂は、このような状況を受けてのことなのでしょう。 言葉の意味が変わったり、それまで誤用とされていた用法が、いつしか正式な意味となってしまったりということは、決してない事例ではありません。 「敷居が高い」という言葉も、そのような言葉の一つになったのだといえるのでしょう。 誤用じゃないとしても注意が必要! 誤用じゃないなら正しい日本語として当たり前に使っていいんじゃないの? と考える人は少なくはないでしょう。 しかし、注意も必要です。 確かに、広辞苑は代表的な国語辞書の一つであり、改定される度にメディアに取り上げられ注目される辞書ではあります。 ですが、まだ全ての辞書でこれまで誤用とされていた用法が認められたわけではありません。 そして、誤用という認識がなかった人が多くいたとはいえ、正しく意味を理解している人もいたわけですし、広辞苑の改訂もつい近年のことであり、これまで誤用とされてきた意味を、今でも誤用だと考える人は一定数いることになります。 ですので、この言葉を使う際には考慮する必要があるということですね。 本来の意味で使うなら「近寄りがたい」などと、新たに認められた意味で使うなら「レベルが高い」「ハードルが高い」「近寄りがたい」などと言い換えるのもいいかもしれませんね。
(結論)
「敷居が高い」の正しい意味は、不義理・不面目なことがあって行きにくいという意。
上品・高級すぎる店などは自分の身の丈に合わないため行きにくいという意も間違いではない
誤用が誤用でなくなった
「敷居が高い」の意味は、以下のデジタル大辞泉の引用からもわかるように、不義理・不面目なことがあって行きにくいというのが本来の意味であって、上品・高級すぎる店などは自分の身の丈に合わないため行きにくいという意味ではありませんでした。
「でした」と書きましたが、この文章を書いている現時点で、デジタル大辞泉も含め、辞書によっては今でもそのような解釈といえるでしょう。
しかし、2018年1月に刊行された広辞苑第七版には、以下の引用にあるように、これまで誤用とされてきた意味が付け加えられました。
辞書に、しかも日本を代表する国語辞書の一つともいえる広辞苑で用法が認められたことで、これまで誤用とされてきた「ハードルが高い」的な意味合いも、一概には誤用といえなくなったといえるでしょう。
goo辞書より引用
広辞苑第七版より引用
誤用が認められることも
敷居とは、門や部屋の内と外との仕切りとして敷く横木のことで、溝やレールのついたものを誰もが目にしたことがあるのではないでしょうか。
敷居は古くから空間を分ける境界線として考えられていたため、この言葉が生まれた当初は不義理・不面目のためにその空間の中へ入ることに気後れしている心境を、境界線を越えにくい、敷居が高くて越えられない、すなわち「敷居が高い」と表現したのでしょう。
このように本来は「不義理・不面目なことが原因で行きにくい」という意味で使われていましたが、次第に「場所の上品さ、高級感が原因で行きにくい」という意味も持ち始めたようです。
また、単に「難易度の高さが原因で敬遠される」というニュアンスで使われることが多少なりともあるようです。
広辞苑をはじめ、辞書が用法として認める判断基準の一つは、世の中に広く定着しているか否かだということです。
広辞苑第七版出版前の、文化庁による平成20年度の「国語に関する世論調査」よると、10~30代では7割以上が「高級すぎて行きにくい」という意味を、40代ではその二つの解答に大差はみられず前者は47.4%、後者は35.6%、50~60代以上では半数以上が「不義理・不面目なことがあって行きにくい」という意味を正しい意味として答えました。
広辞苑第七版での改訂は、このような状況を受けてのことなのでしょう。
言葉の意味が変わったり、それまで誤用とされていた用法が、いつしか正式な意味となってしまったりということは、決してない事例ではありません。
「敷居が高い」という言葉も、そのような言葉の一つになったのだといえるのでしょう。
誤用じゃないとしても注意が必要!
誤用じゃないなら正しい日本語として当たり前に使っていいんじゃないの? と考える人は少なくはないでしょう。
しかし、注意も必要です。
確かに、広辞苑は代表的な国語辞書の一つであり、改定される度にメディアに取り上げられ注目される辞書ではあります。
ですが、まだ全ての辞書でこれまで誤用とされていた用法が認められたわけではありません。
そして、誤用という認識がなかった人が多くいたとはいえ、正しく意味を理解している人もいたわけですし、広辞苑の改訂もつい近年のことであり、これまで誤用とされてきた意味を、今でも誤用だと考える人は一定数いることになります。
ですので、この言葉を使う際には考慮する必要があるということですね。
本来の意味で使うなら「近寄りがたい」などと、新たに認められた意味で使うなら「レベルが高い」「ハードルが高い」「近寄りがたい」などと言い換えるのもいいかもしれませんね。