「潮時」の正しい意味は?

潮時ってどんな時?

「潮時」の正しい意味は? オマケ漫画あります

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(結論)

「潮時」は「ちょうどいい時期」のこと。

「ものごとの終わり」という意味ではない。

「潮時」ってどんな時?

「潮時を見計らって引退しよう」とか、「潮時がきたら、話すよ」といった表現を聞いたことはありませんか?

会話で出てくるほかは、新聞やテレビなどのメディアで目にすることがあるかもしれません。

この「潮時」という言葉に、どのようなイメージをもっているでしょうか?

実は、ネガティブなイメージで使うのは、誤りなんです!

正しくは、「ちょうどいい時期」というポジティブな意味をもつ言葉です。

辞書の引用で詳しく見てみましょう。

しお‐どき〔しほ‐〕【潮時】

1 潮の満ちる時、また、引く時。

2 物事を始めたり終えたりするのに、適当な時機。好機。「潮時を待つ」「ピッチャー交代の潮時」

3 時間。特に、一日のうちで出産や死亡の多く起こる時間。潮の干満の時刻に合わせて起こるからという。

デジタル大辞泉(小学館)

goo辞書より引用

二番目の意味にあるように、「潮時」とは、物事を始めたり終えたりするのに絶好のタイミングのこと。

しかし、不本意だけど物事を切り上げないといけない時や、物事が限界を迎え、終わりを迎えざるをえないような時を「潮時」と誤って表現してしまう人が多くいるようです。

このように誤用してしまうのはなぜなのでしょうか?

次項で確認していきましょう。

「潮時」のニュアンス、正しく読み取れてる?

文化庁が平成24年度に16歳以上を対象に行った「国語に関する世論調査」で、「潮時」の意味に関する調査が行われました。

10代から60代以上の全ての年代で、本来の「ちょうどいい時期」という意味を選んだ人の割合が、誤用である「ものごとの終わり」という意味を選んだ人の割合を上回る結果となりました。

一見すると、正しく使えている人のほうが多いのだから、問題ないのでは?と思ってしまいそうになります。

ですが、20代から50代では誤用している人の割合は4割を超えており、誤用している人の数が決して少なくないのも現状です。

ではどうして、これほど誤用する人が多くなってしまうのでしょうか?

その理由の一つに、「使い合わせ」が挙げられるのではないかと思います。

「使い合わせ」は筆者が作った造語ですが、食べ合わせと同様に考えてください。

つまりは、つい「ものごとの終わり」という誤った意味でとってしまうような文脈で「潮時」が使われる機会が多いのではないか、ということです。

例えば、引退という言葉との「使い合わせ」が分かりやすいでしょう。

スポーツ選手が引退する際に、新聞の見出しやニュースで「選手人生の潮時感じ、引退」などと表現されることは多々あります。

これは、選手自身は引退を不本意に思っているが、体力や技術の衰えを感じ泣く泣く引退する、というニュアンスでは決してありません。

何の心残りもなく、選手人生を切り上げるのにちょうどいいタイミングだから引退する、というポジティブなニュアンスでとるのが正解なのです。

他には、恋愛との「使い合わせ」もよく聞くのではないでしょうか。

カップルの潮時、と聞くと、つい別れを想像してしまう人も少なくないでしょう。

しかしこれも、そのようなネガティブなニュアンスでとるのは間違い。

正しくは、カップルが結婚の段階へと進むのに良いタイミング、といったニュアンスでとるべきなのです。

終わりを意識してしまうような言葉との「使い合わせ」のイメージが、「潮時」の誤用を増やしてしまっているのかもしれません。

どのような言葉と一緒に使われていようと、「潮時」は「ちょうどいい時期」というポジティブな意味の言葉であるということを覚えておいてくださいね。

次項では、「潮時」の正しい意味をちょっとだけ覚えやすくするような豆知識をお伝えします。

「潮時」になったら漁に出よう

「潮時」の潮とは、「月や太陽の引力によって周期的に起こる海面の昇降」のこと。

つまりは、海水の満ち引きのことですね。

漁に出て沢山の魚を捕るには、この海水の満ち引きを知っておくことが非常に重要なのだそう。

海水が満ちるタイミングで漁に出て、引くまでの間で漁をすることで、大漁を望めるのだとか。

昔から、潮の満ち引きの周期をよみ、絶好のタイミングを見計らって漁に出ていた、というのが「潮時」の語源です。

この語源から、「潮時」が「ちょうどいい時期」を示す言葉であるというのが印象づいたでしょうか?

ぜひ、この語源とともに「潮時」の正しい意味を覚えてみてください。

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