HOME 言葉の意味 「天地神明」or「天地天命」? 「天地神明」or「天地天命」? 神明 or 天命? (ページ下部にオマケ漫画があります) (結論) 「うそ偽りがないことを固く約束する」ときは、「天地神明に誓って」! 「天地天命に誓って」というのは誤り! 「天地〇〇に誓って」 「昨日一緒に歩いていた女誰よ!私を差し置いて、まさか浮気?信じられない!」と恋人に激怒されてしまいました。 浮気だなんてとんでもない!とあなたは大慌てで訂正しようとします。 「一緒に歩いていた人はただの同僚!浮気なんかしていないよ、天地天命に誓って!」 これを聞いた恋人は、呆れて去っていってしまいました。 何がいけなかったのでしょう。 これが初めての浮気ではなかったから信じてもらえなかったのか。あるいは、言葉に気持ちがこもっていなかったからか。 またあるいは、「天地天命に誓って」という言葉使いに呆れられたのかもしれません。 そう、「天地天命に誓って」は誤用なのです。 「自分の言うことに、うそ偽りがないことを固く約束するさま」は、「天地天命(てんちてんめい)に誓って」ではなく「天地神明(てんちしんめい)に誓って」が正解! 「天命」と「神明」って何が違うの?と思う方も多いでしょう。 辞書で確認してみましょう。 しん‐めい【神明】 1 神。神祇 (じんぎ) 。「天地神明に誓ってうそは言わない」 2 祭神としての天照大神 (あまてらすおおみかみ) の称。また、それを祭った神社。神明社。 デジタル大辞泉(小学館) goo辞書より引用 てんち-しんめい【天地神明】 天と地のあらゆる神々のこと。▽「明」は神のことで、「神明」は神々の意。 三省堂 新明解四字熟語辞典 goo辞書より引用 「神明」とは簡単に言えば「神様」のこと。 ですから「天地神明に誓って」は、「自分がいっていることに決してうそ偽りはないことを、天や地のあらゆる神様に誓うよ。もしそれが嘘ならば神様の制裁だって受ける覚悟がある」といったニュアンスでしょうか。 つまりは、「自分がいっていることは絶対に真実だ!」と主張したいときに使われる言葉です。 それでは「天命」とはどういう意味なのでしょう。 てん‐めい【天命】 1 天の命令。天が人間に与えた使命。「人事を尽くして天命を待つ」 2 人の力で変えることのできない運命。宿命。 3 天の定めた寿命。天寿。「天命を全うする」「天命が尽きる」 4 天の与える罰。天罰。 「―とはいいながら富五郎はばたばた苦しみまして」〈円朝・真景累ヶ淵〉 デジタル大辞泉(小学館) goo辞書より引用 「天命」とは簡単に言えば「命令、運命」のこと。 命令や運命に誓うというのは、意味が通じません。 そもそも「天地天命に誓って」という言葉自体存在しないのですから、意味が通じないのは当然といえば当然です。 とはいえ、「天地神明に誓って」というべきところで「天地天命に誓って」と誤用してしまう人は少なくないようです。 次項では、その誤用率について触れていきましょう。 日本人の半数が誤用! 文化庁が平成30年に16歳以上を対象に行った「国語に関する世論調査」で、「自分の言うことに、うそ偽りがないことを固く約束するさま」を表す際に「天地天命に誓って」と「天地神明に誓って」のどちらを使用するか、について調査が行われました。 なんと、10代から70代以上の全ての年代において、「天地天命に誓って」を使用すると回答した人の割合が、「天地神明に誓って」を使用すると回答した人の割合を超える結果に。 つまり、誤用している人の割合の方が高いという結果になったのです。 誤りである「天地天命に誓って」を使うと回答した人の割合が一番高かったのは、20代で、63.8%でした。 一方、正しい「天地神明に誓って」を使うと回答した人の割合が一番高かったのは、60代で、39.6%でした。 日本人の約5割の人が誤用している結果となったわけですが、どうしてこれほど誤用する人が多いのでしょうか? その原因については文化庁も言及しておらず、明確な原因というのは分かりません。 ですが、「天命」と「神明」では、どちらかというと「天命」の方が聞き馴染みがある人が多いのではないでしょうか。 「人事を尽くして天命を待つ」ということわざの中にもあるように、「天命」は「神明」よりも他の言葉のなかで耳にする機会が多いように感じます。 あくまで推測にすぎませんが、両者は言葉の響きも似ていますし、より聞き馴染みのある言葉にすり替わっていったのでは、と考えることもできるでしょう。 原因はともかく、「天地天命に誓って」ではなく、「天地神明に誓って」が正しい言葉だということを覚えてください。 もしどちらが正しい言葉か分からなくなった際には、無理に難しい言葉を使おうとせず、「神に誓って」などと簡単に言い換えてしまうのが無難かもしれませんね。 英語で「神に誓って!」 「神に誓って絶対に〇〇だ!」という言い回しは日本だけでなく、海外でもよく使われる表現のようです。 日本では、「天地神明に誓って」や「天地神明にかけて」、単純に「神に誓って」という言葉が使われます。 英語圏で同じような内容を言いたいときには、”I swear.”や”I promise.”などが使われるそう。 また、英語圏だからこその表現が”Cross my heart.”というもの。 これは子どもが使う表現らしいのですが、ちょうど日本の子どもが「指切りげんまん」をする時に小指を切るように、英語圏の子どもは”Cross my heart.”といって十字を切るそう。 キリスト教を信仰する地域ならではの表現ですよね。 ちなみに「指切りげんまん」にあたる英語も存在するようです。 やや脱線してしまいましたが、「天地神明に誓って」という言葉に関連する豆知識を紹介しました。
(結論)
「うそ偽りがないことを固く約束する」ときは、「天地神明に誓って」!
「天地天命に誓って」というのは誤り!
「天地〇〇に誓って」
「昨日一緒に歩いていた女誰よ!私を差し置いて、まさか浮気?信じられない!」と恋人に激怒されてしまいました。
浮気だなんてとんでもない!とあなたは大慌てで訂正しようとします。
「一緒に歩いていた人はただの同僚!浮気なんかしていないよ、天地天命に誓って!」
これを聞いた恋人は、呆れて去っていってしまいました。
何がいけなかったのでしょう。
これが初めての浮気ではなかったから信じてもらえなかったのか。あるいは、言葉に気持ちがこもっていなかったからか。
またあるいは、「天地天命に誓って」という言葉使いに呆れられたのかもしれません。
そう、「天地天命に誓って」は誤用なのです。
「自分の言うことに、うそ偽りがないことを固く約束するさま」は、「天地天命(てんちてんめい)に誓って」ではなく「天地神明(てんちしんめい)に誓って」が正解!
「天命」と「神明」って何が違うの?と思う方も多いでしょう。
辞書で確認してみましょう。
goo辞書より引用
goo辞書より引用
「神明」とは簡単に言えば「神様」のこと。
ですから「天地神明に誓って」は、「自分がいっていることに決してうそ偽りはないことを、天や地のあらゆる神様に誓うよ。もしそれが嘘ならば神様の制裁だって受ける覚悟がある」といったニュアンスでしょうか。
つまりは、「自分がいっていることは絶対に真実だ!」と主張したいときに使われる言葉です。
それでは「天命」とはどういう意味なのでしょう。
goo辞書より引用
「天命」とは簡単に言えば「命令、運命」のこと。
命令や運命に誓うというのは、意味が通じません。
そもそも「天地天命に誓って」という言葉自体存在しないのですから、意味が通じないのは当然といえば当然です。
とはいえ、「天地神明に誓って」というべきところで「天地天命に誓って」と誤用してしまう人は少なくないようです。
次項では、その誤用率について触れていきましょう。
日本人の半数が誤用!
文化庁が平成30年に16歳以上を対象に行った「国語に関する世論調査」で、「自分の言うことに、うそ偽りがないことを固く約束するさま」を表す際に「天地天命に誓って」と「天地神明に誓って」のどちらを使用するか、について調査が行われました。
なんと、10代から70代以上の全ての年代において、「天地天命に誓って」を使用すると回答した人の割合が、「天地神明に誓って」を使用すると回答した人の割合を超える結果に。
つまり、誤用している人の割合の方が高いという結果になったのです。
誤りである「天地天命に誓って」を使うと回答した人の割合が一番高かったのは、20代で、63.8%でした。
一方、正しい「天地神明に誓って」を使うと回答した人の割合が一番高かったのは、60代で、39.6%でした。
日本人の約5割の人が誤用している結果となったわけですが、どうしてこれほど誤用する人が多いのでしょうか?
その原因については文化庁も言及しておらず、明確な原因というのは分かりません。
ですが、「天命」と「神明」では、どちらかというと「天命」の方が聞き馴染みがある人が多いのではないでしょうか。
「人事を尽くして天命を待つ」ということわざの中にもあるように、「天命」は「神明」よりも他の言葉のなかで耳にする機会が多いように感じます。
あくまで推測にすぎませんが、両者は言葉の響きも似ていますし、より聞き馴染みのある言葉にすり替わっていったのでは、と考えることもできるでしょう。
原因はともかく、「天地天命に誓って」ではなく、「天地神明に誓って」が正しい言葉だということを覚えてください。
もしどちらが正しい言葉か分からなくなった際には、無理に難しい言葉を使おうとせず、「神に誓って」などと簡単に言い換えてしまうのが無難かもしれませんね。
英語で「神に誓って!」
「神に誓って絶対に〇〇だ!」という言い回しは日本だけでなく、海外でもよく使われる表現のようです。
日本では、「天地神明に誓って」や「天地神明にかけて」、単純に「神に誓って」という言葉が使われます。
英語圏で同じような内容を言いたいときには、”I swear.”や”I promise.”などが使われるそう。
また、英語圏だからこその表現が”Cross my heart.”というもの。
これは子どもが使う表現らしいのですが、ちょうど日本の子どもが「指切りげんまん」をする時に小指を切るように、英語圏の子どもは”Cross my heart.”といって十字を切るそう。
キリスト教を信仰する地域ならではの表現ですよね。
ちなみに「指切りげんまん」にあたる英語も存在するようです。
やや脱線してしまいましたが、「天地神明に誓って」という言葉に関連する豆知識を紹介しました。