「世論」の正しい読み方は「せろん?」「よろん?」

せろん or よろん?

4コマ漫画『せろん or よろん?』 オマケ漫画あります

(ページ下部にオマケ漫画があります)

(結論)

「世論」の読み方は「せろん」も「よろん」も正しい

「せろん」も「よろん」もどちらでもOK

以下の辞書からの引用にもあるように、「世論」の読み方は、「せろん」でも「よろん」でも、どちらも正しく、間違いではありません。ちなみに、「せいろん」という読みもできるようです。

せ‐ろん【世論】

ある社会の問題について世間の人々の持っている意見。よろん。せいろん。「世論を反映させる」「世論の動向」

[補説]「輿論 (よろん) 」の書き換えとして用いられ、「よろん」とも読まれる。

デジタル大辞泉(小学館)

goo辞書より引用

よ‐ろん【×輿論/世論】

世間一般の人の考え。ある社会的問題について、多数の人々の議論による意見。せろん。「―を喚起する」「―に訴える」

[補説]当用漢字制定以前は「よろん」は「輿論」と書いた。「世論」は「せろん・せいろん」と読んだ。「輿論」は人々の議論または議論に基づいた意見、「世論 (せろん) 」は世間一般の感情または国民の感情から出た意見という意味合いの違いがある。

デジタル大辞泉(小学館)

goo辞書より引用

「世論(せろん)」と「輿論(よろん)」

戦前では「輿論」を「よろん」、「世論」を「せろん」または「せいろん」と読み分けて、意味においても区別して使用していたようです。

昭和21年公布の当用漢字表に「輿」という漢字が含まれていなかったため、「輿論(よろん)」を「世論」と表記するようになり、結果、「世論」が「せろん」とも「よろん」とも読まれるようになってしまいましたが、本来、「世論(せろん)」と「輿論(よろん)」は、意味合いの違う別の言葉です。

「世論(せろん)」は世間一般の感情または国民の感情から出た意見、「輿論(よろん)」は人々の議論または議論に基づいた意見という意味合いです。

現在のように読み方が混同するようになった原因に、戦後、当用漢字を制定する際に「輿論」の輿の文字が難解であるために、代用として「世論」の表記を公的な場面で用いると定めたことが挙げられるでしょう。

元々「輿論(よろん)」と読まれていたものを、その意義はそのままに「せろん」と読まれていた「世論」という漢字を充てたものですから、読み方が混同してしまうのも無理はありませんよね。

ですので、最も美しいあり方は、意味に応じて、「せろん」「よろん」の読み方を使い分けることだといえるかもしれません。

しかし、「世論(せろん)」と「輿論(よろん)」の意味合いの違いが、万人が常に間違うことなく区別するには、少々難しいといっていい程度の差異しかないともいえます。

だからこそ、「世論(せろん)」と「輿論(よろん)」が明確に区別されることなく「世論」として使用され、「せろん」とも「よろん」とも読まれる現実が一般化したともいえるのでしょうが。

現在の使われ方は?

漫画の中にもありますが、現在では「世論」を「よろん」とも「せろん」とも読み、読み方の違いが厳密にその意味に影響することはありません。

ちなみに、NHKニュースでは、「よろん」と発音しています。

また、「与論」と表記して「よろん」と読む読み方もあるようです。

このことに関しては、「与」の旧字の「與」が「輿」と似ているために勘違いしたという説や、「輿」という漢字が難解であるために同音の「与」という漢字をあえて充てたという説、「与論」を「よろん」と読むために単に誤って同義語として使われるようになったという説など、多数の説があります。

しかし、どの説においても根拠に乏しくその真相は明らかになっていないようです。

今後、明確に根拠となる情報や文献を見付けることができたら、改めて追記したいと思います。

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